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意匠法について(12)

 

 今回は間接侵害について述べます。

 間接侵害とは、登録意匠またはこれに類似する意匠に係る物品の製造にのみ使用するものを製造等することです(意匠法第38条1号)。
 

 意匠権の侵害に用いられる専用部品の供給などの行為は、多くの場合意匠権を直接侵害する者ではありません。しかし、直接侵害を惹起する蓋然性が極めて高く。そのような行為を放置することは、意匠権の効力の実効性を失わせることとなります。
 そこで、意匠法では、間接侵害に関する規定を設け、侵害の予備的行為または幇助的行為のうち、直接侵害を誘発する蓋然性が極めて高い一定の行為を意匠権の侵害とみなすこととしています。

 この「意匠に係る物品の製造にのみ使用するもの」は、経済的、商業的または実用的な他の用途がないものでなければなりません。例えば、意匠に係る物品を製造するための金型等を製造等することは、間接侵害に該当するおそれがあります。

 また、登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を業として譲渡等のために所持する行為は間接侵害に該当します(38条2号)。

 侵害物品を譲渡等又は輸出する行為は、事後的な侵害防止措置が困難になる蓋然性の高い行為であるため、これらを目的として所持する行為を侵害とみなしています。

 意匠権者は、かかる物品を発見した場合は、差し止め請求(37条)、損害賠償請求(民709条、39条)等を行うことができます。


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